Les Clés [レクレ] - コンポチュールについての長い長い説明

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福岡・赤坂発 果物と野菜とオリジナルコンフィチュール「コンポチュール」のお店 [レクレ]

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Les clés[レクレ]の新しいスタイル
コンポチュールとは??


ここでは、当店のコンポチュールについて、
詳しく説明いたしますね。

レクレのコンポチュールと他のコンフィチュールとの違いは??

簡単に幾つかあげると、

、素材の持っている果糖を出来るだけ利用して引き出してあげる。
  砂糖だけではなく果糖を感じられるようにしてある。
  その為に、十分に追熟させ、味や香り、甘さを引き出したものを使う。
、ペクチンを使わない。よって粘性が少なくさらりとしているのが特徴。
、香りに十分に気を使い加熱し、全体のバランスをとる。
、本来敬遠されがちな、苦みや様々な酸味を使う。 
、素材を組み合わせる事により、パンに合わせるだけではなく、
  無限に広がる使い方がある。
、産地にまで出来るだけこだわる。

でしょうか。
さて少しずつ説明していきますね。

まず
、素材の持っている果糖を出来るだけ利用して引き出してあげる。
  砂糖だけではなく果糖を感じられるようにしてある。
  その為に、十分に追熟させ、味や香り、甘さを引き出したものを使う。

から説明すると、それは砂糖を使う事への考え方なんです。


 普通、コンフィチュールで砂糖を使う理由というのは、
簡単に言えば、糖度を高くし、砂糖の粘性を利用して濃度を付ける事により
素材が腐敗しないようにすること。
 すなわちコンフィチュール(ジャム)とは、
「粘性があり」、「糖度が高く」、「保存性に優れている」食品(専門的な事を除き)
のことだと個人的には思う訳ですが、
レクレのコンポチュールはどうかと言えば全く逆で、
粘性が弱く、糖度も低めで、保存性にもさほど優れていない・・・・
(冷蔵庫を使わないと・・・それと使用するスプーンに気を付けないと。。。)

それはというのも、砂糖を使う量が一般的なものより少ないからなんです。

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なぜそうなるかというと、ここからが「砂糖を使う」と言う事への考え方ですが、
そこまで糖度が高くなくても、今の時代良いのではと思ったんです。

 コンフィチュール(ジャム)は、昔、冷蔵庫の無い時代の保存食でした。
長い時間腐敗させず、季節のものを利用し、その季節にしか取れないものを、
無駄なく長期間にわたって食べる事(楽しむ事)が出来る保存食。

 でも、冷蔵庫がある今の時代は昔と比べて飛躍的に保存が効くようになっているし、
全く生活環境や、砂糖をとる意味すら変わってきています。
昔の様に砂糖をたくさん使って保存を効かせる必要がなくなっているんです。
だから、レクレのコンポチュール(コンフィチュール)では、
従来のものより砂糖の量を減らしています。

 と言いつつも、甘いんですよ・・・レクレのコンポチュール。

 もちろん、
良く使われている様な砂糖のしつこいべっとりとした甘さや
水あめの様な他の味覚をマヒさせる様な甘さではなく、
フルーツ本来の優しい甘みや、
野菜の持ってるでんぷん質を加熱する事により得られる糖を使った甘みです。
ただ、それでは保存性に全く欠けるので、その為に砂糖を少し使ってあげるイメージです。

 それと、フルーツの魅力を最大限に出すために追熟させて使い、
(家庭でジャムを作るときはよくされる事が多いと思いますが)
つぶし用(=ジャム用)のフルーツを使う事はしないという事。

(※追熟というのは、果物は早摘みするため、
 食べ頃になるまで店に置いておいて熟成させることをいいます)

ここで少し専門的になってくるのですが、
青果市場では、野菜果物には等級(ランク)がつけられています。
秀、優、良というランクがあったり、
秀の中でも赤秀、青秀など2段階に分けてあったり、
ほかにも特Aとか色々なランクがあるんですが、
その中の一番下の事をB級品、まれにC級品と呼んだりします。
加熱して加工するジャムは、一般的にB級品もしくは、C級品を使うので、
これらのランクの果物をつぶし用と言ったりします。

そして、これは経験上の話になるのですが、
例えば仮にB級品のフルーツを使って作るとしますね。
B級品って、簡単に言えば、色、形、味が落ちている物なんです。
まれに見た目だけが悪いものもあるにはあって、そういうのは問題ないんですが、
最初から味がダメなモノはポテンシャルがないので、
いくら追熟させたとしても、
本来いい果物が持っているようなおいしさは出てきません。
だから、普通のコンフィチュール(ジャム)は、
B級品の味をごまかすために砂糖多めにしているというのもあるんですね。

しかし、いいものを使うと全く違うんですよ。

IMG_0529.JPGなかなかそんな贅沢な使い方を家でする事は難しいでしょうが、やはり違いが出ます。

柑橘類なんかは特に顕著で、
いいものだと追熟させればとがった酸味が取れて優しい酸味になり、
本来持ってる甘さが活きてくるんです。
追熟させていないフルーツなんかは、そもそもおいしさが違いすぎます。

フルーツは腐る一歩手前が一番って言いますよね??
あれってA級品(いいもの)だからこそ美味しくなるんです。熟成によって。
B級品だと、腐る一歩手前はえぐみが出たり、
生の状態では分からずとも、加熱すると一気に味に出て来ちゃったりするんですよ。

だからA級品を追熟させて使う事にこだわっているんです。
だからレクレのコンポチュール(コンフィチュール)は甘いんです。

よくある低糖度と書いてある食品とは、
同じ少ない砂糖の量であっても、少し意味が違うんですね・・・。





そして、次に
、ペクチンを使わない。よって粘性が少なくさらりとしているのが特徴。

についてですが、

 ペクチン(ゲル化剤)を使っていないという事。

??と思う方もいるかもしれません。
レクレのコンポチュール(コンフィチュール)以外でも
使っていないものはあるのでは??
と思う方もいるかもしれません。

ですが、レクレのコンポチュール(コンフィチュール)が他と違うのは、
ただ砂糖を入れて煮詰めるだけのような事はしないという事です。

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通常、ペクチンを使わないと濃度(粘性)がつきません。
素材が持ってる繊維質によって違いますが、
フルーツが本来持っているペクチンだけでは、やはり固まる力が弱いように感じます。
だから他のコンフィチュールやジャムのレシピを見ると、
ペクチンを加えているか、なべ底が見えるまで煮詰める状態にしてある様に見えます。
もちろん誰にでも作れるように、わかりやすくするための優しさだと思いますが・・・。


しかし、レクレのコンポチュール(コンフィチュール)では、
他の何か違う素材で濃度を付けるようにしています。
(もちろん素材によってはそうしないのもありますが)

そうする事により、
ただ煮詰めただけ(熱を加えるだけ)の時には失われてしまう
風味や本来の味を大切にし、
また、煮詰めることによって糖度が上がりすぎてしまうことを防いでいます。

 もう一つ、
ペクチンの粘性によって舌の上にゼラチンの膜が張り、素材の味がぼやけてしまうので、
それを防ぐためにもペクチンは使用していません。

 この辺りも、他の商品やレシピなどと
レクレのコンポチュールのスタイルが違う理由です。




次に
、香りに十分に気を使い加熱し、全体のバランスをとる。

ですが

レクレのコンポチュール(コンフィチュール)では味の構成要素を大切にしています。
味、見た目、香り、深みなどなどいろんなものがあります。
それらのバランスが取れた時に初めて、美味しさとなると考えています。
レクレのコンポチュールでは、スパイスをたくさん使います。
それは、素材を引き立てるためであり、バランス良く美味しさを演出するためです。
もちろん、スパイスを加えず素材そのものの香りを活かすように作っているものもあります。

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香りに十分に気を使って加熱、ということについてですが、
例えば、よくあるやり方で
「強火で加熱して一気に仕上げる事により香りを逃さないようにする」
って聞いた事ありませんか??
実はこれって正解でも不正解でも無いと思うんです。

なぜかと言えば、その素材によって正解不正解と分かれるからなんです。
強火で香りが残るものもあるし、逆に消えてしまうものもあるので。

料理でもそうですが、加熱の時間と強さの意味を知らないと、
香りにすごく差が出てしまうんですね。

素材をいくら厳選しても全く意味がなくなってしまうぐらい、違います。
それぐらい熱をどれくらいの時間と強さで加えるかを理解することは重要な事なんです。


 一つ例をあげると、
人参とパイナップルのコンポチュール(コンフィチュール)でレクレでも使っている人参。

IMG_0569 (2).jpgConfiture de Carottes et Ananas

加熱の強さや時間を変える事で、
人参の味を消す事も出す事も出来るし、
甘味を強くする事もあっさりにする事も出来ます。

 これは、プロとして料理している人には常識的な事なんですが、
熱を加える事により澱粉は糖化するなど、
そのものの甘さを引き出すという事は、
加熱の仕方や時間で、香りも味も、すごく変わってしまうという事なんです。

それと、桃のコンフィチュールなんかもそうですが、
凄く繊細なモノは、ほかの何かの香りを
ぶつけてあげるともっと引き立つ事もあるんです。
不思議ですね。
レクレでは、桃のコンポチュールにはバラのピューレを入れてあります。

pesche_L.jpgConfiture de Pêche


加熱を大切にしてるのも、
味の構成要素の中の香りは美味しさの一つだからと感じているからなんです。



 記憶に残るいい香りは、心で感じて素直に思う喜びですしね。


IMG_0493 (2).jpgレクレのオンラインショップはこちら



では次ですが
、本来敬遠されがちな、苦みや様々な酸味を使う。


苦みや酸味についてですが、
苦みのあるものであるのはマーマレードぐらいかと。
酸味は柑橘類のジャムでは良く使われているので、
なんだかたくさんありそうに思えますが、
実はなかなか無いような気がします。

レモンを加えても、加熱で酸味は飛んでしまうでしょうし、
よくあるレシピに加えてるぐらいでは、酸味を活かすというより、
素材が色あせないためだったり、
味にメリハリを付けるためのアクセント程度だと個人的には思います。
むしろもともと酸の強いモノは、砂糖の量が多いですしね。

ではなかなか無いのはなぜか?

それは、合わせるものが、
パンに合わせる事をイメージして作ってあるからという事もあると思いますが、
作り手が美味しい酸を知らない事も原因の一つだと思います。

個人的には、
美味しいと思うリンゴにも美味しいと思うみかんにも、
ただ甘いだけでなく、美味しい酸味、甘さの中の美味しい酸味が存在してるように思います。

ただ残念なことに加熱を加えると、酸味が飛んでしまうものもあります。

なので、レクレのコンポチュール(コンフィチュール)では、
別の酸を加えて、酸味の深み、奥行きを出すようにしてあります。
グレープフルーツとりんごの酸の感じ方が違う様に、
ライチとオレンジの酸の感じ方が違う様に、
白ワインとバルサミコ酢の酸の感じ方が違う様に、
異なった酸味を重ねて深みを出すようにしてあります。

orange_litchi_L.jpgCompoture d'Orange et Litchi

もう一つレクレのコンポチュール(コンフィチュール)で酸味を重要視しているのは、
酸味を使う事によって味のバランスを取り、
甘味を抑制する効果があると考えているからです。
ただひたすら甘いだけだと、味がぼやけた印象になると思います。

そこで酸味をうまく使う事によって、味にメリハリを付けると同時に、錯覚を使う訳です。
甘く「感じさせる」んです。

スイカに塩なんかも、その考え方に近いのかもしれませんね。
塩を使う時もそうですが、味覚の構成要素の反対のモノ、
もしくは反対に近いモノを使ってあげると逆に甘く感じる、という訳です。

苦みも同じです。

ホワイトグレープとピンクグレープフルーツは、熱を加えるとそれぞれ違う苦みが出てきます。
意外かもしれませんが、食品を加熱するという事は、そういう事なんです。
フルーツの皮の苦みも全く違う苦みですよね?

それぞれの良さを引き出して、
組み合わせてあげるだけでより良い苦みとなるんです。
そうやって仕上げた、レクレのコンポチュール(コンフィチュール)は料理にも相性が良いのです。



、素材を組み合わせる事により、パンに合わせるだけではなく、
  無限に広がる使い方がある。



レクレのコンポチュール(コンフィチュール)は、
パンに塗るだけではなく、チーズに塗ったりクラッカーに塗ったりして、
ワインなどお酒と合わせられる事も一つの特徴です。
チーズ好きの方はブルーチーズ、ハード、ウォッシュなどとチーズを変えて、
組み合わせを楽しんで頂けたらと。
ワイン好きの方もそうでない方も、楽しんで頂けると思います。

他にも紅茶やハーブティーにも合わせても面白いと思いますよ。
これも従来のコンフィチュール(ジャム)の様に溶かして合わせるだけでなく、
舐めながら、口の中に含ませて、口の中で割る様なイメージで試して頂いても、
レクレのコンポチュール(コンフィチュール)は
素材の表情が変わって楽しんで頂けるかと思います。

もちろんそのまま、料理のソースとしても相性は良く、
粘性が少ないのでオリーブオイルを少し加えて、
何かのソースにしても馴染みやすいのも特徴です。

IMG_0560 (2).jpgConfiture d'Ananas

これは、パイナップルとフェンネル(ハーブ)のコンポチュールですが、
クリームチーズと合わせて、オリーブオイルと黒コショウをプラスしてます。
このコンポチュールならチーズを選ばず、
どんな種類のチーズにも合いますよ。


素材の優しい甘味と旨みが、他の食材を引き立ててくれることでしょう。


また、デザートソースとしても相性は良く、
例えば、苺と赤ピーマンのコンポチュール(コンフィチュール)とバニラアイスなどの様に、
他の何かと組み合わせると、レストランのデザートの様な、
家庭で出来る最高の贅沢を表現できるようになっています。


コンフィチュール(ジャム)=パンに塗るもの

とだけ決めつけないで、
既成概念をはずして新しいレクレのスタイルを楽しんでください。


ご家庭での食育の一環としても
レクレのコンポチュール(コンフィチュール)を使って頂けたら幸いです。



、産地にまで出来るだけこだわる。



 産地についてですが、この九州という土地の利点を最大限使って
九州の各県の美味しいモノを出来る限り使って作るように心がけています。
 自分でも知らなかったぐらい、九州には良い生産者がたくさんいらっしゃいます。
全国的に評価の高い野菜や、果物もたくさんあります。
きっと、水が綺麗なところがたくさんある事も、評価の高い理由の一つでしょう。
その方たちともっとコミュニケーションとりながら、創っていけたらなと思っています。

地産地消という考えもありますが、
やはり美味しいモノ、本物のモノはその土地、その土に由来するという考えで
産地は選択しています。(同じ九州産でも)

 一部例外はあるにせよ、フラットな視点で、
聞こえの良い無農薬有機野菜に惑わされる事無いよう、
自分自身も勉強しながら、より良いモノを探して創っています。
(とは言っても安心して信頼できる生産者の無農薬のモノは使いますよ)






 レクレのコンポチュール(コンフィチュール)理解して頂けましたか??

 レクレの新しいスタイルを少しは感じて頂けましたでしょうか。


言葉だけでは、なかなか理解しづらい事もあると思います。
フルーツの果糖の甘さも、砂糖の甘さも、表現では「甘い」になってしまうし、
一般的にシンプルに煮詰めて作られるジャムも、
他の素材と組み合わせて濃度をつけて作るレクレのコンポチュール(コンフィチュール)も、
どちらも表記は「ペクチンを使ってません」になるから。



 あとはぜひ食べて、体感して頂けたらなと思います。


これまで何度も「コンポチュール」と書いていますが、
レクレのコンポチュールは、コンポートでも無くコンフィチュールでも無い、
その中間の新しいスタイルという意味も込めて、
「コンポチュール」というオリジナルの商標登録した名前を使っています。


最後になりますが
なかなか本物というのが見えづらい今の時代に、
何が本物かという事を考えながら、
少しでも本物を提供できたらと思い日々進化していけたらと思います。

レクレのスタイルで少しでも何かを感じ、考えていただけたら幸いです。



九州日仏学館(現アンスティチュ・フランセ九州)の講習の時にも、
いろんなところでも最後にお話していますが、

レクレのコンポチュール(コンフィチュール)を使って、食べて、感じて、比べて、
何か食について興味を持ち、
日々の食生活、食習慣の何かアクセントになる事を願っています。



最後にもう一度まとめると、レクレの新しいコンポチュール(コンフィチュール)の特徴は、
、素材の持ってる果糖を出来るだけ利用して引き出してあげる。
  砂糖だけではなく果糖を感じられるようにしてある。
  その為に、十分に追熟させ、味や香り、甘さを引き出したものを使う。
、ペクチンを使わない。よって粘性が少なくさらりとしているのが特徴。
、香りに十分に気を使い加熱し、全体のバランスをとる。
、本来敬遠されがちな、苦みや様々な酸味を使う。 
、素材を組み合わせる事により、パンに合わせるだけではなく、
  無限に広がる使い方がある。
、産地にまで出来るだけこだわる。

になります。

あとは、みなさんの五感のすべてを使ってレクレのスタイルを体感してください。

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